ゆ〜ゆ本誌にて2013年まで連載していた「お風呂の四方山話」が令和版「温泉・温浴の四方山話」として復活! 愉湯太郎が伊豆高原の秘密基地よりお届けいたします。「風呂超爺・太郎の二拠点生活blog」とあわせ、ぜひお楽しみください(編集部)。
前期高齢者と後期高齢者
スーパー銭湯の利用者は年齢別でみると50才以上が圧倒的です。さらに平日の昼間は高齢者といわれる65才以上の高齢者でいっぱいです。最近ではaround70は前期高齢者、75歳以上は後期高齢者と呼ばれます。何と呼んでくれてもいいのですが、分ける必要がありますかね?
総務省の発表では65歳以上の高齢者の人口比率はあと少しで3割を超えます。ひと昔前なら、60歳でめでたく定年退職して、後は自由に「毎日が日曜日」で生きるか、給料半分の「単年度更新の契約社員」になるか……というところでしたが、年金の支給開始が65歳以上になって、否が応でも65歳まで働くという選択肢が優先されるようになってしまったようです。2000円を握りしめて、近くのスーパー銭湯で日中を過ごすこともままならぬ時代になってしまいました。
マーケティングの世界では「団塊の世代」は1947~49年生まれ、「新人類」は1960年代生まれ、「バブル世代」は1965~69年頃生まれと分類され、高度経済成長を支えたのは「団塊の世代」と言われています。でも、その下のaround70の貢献度も高いと思います。
高齢者のお風呂マナー
まあ、そんなことはともかく、お風呂の話に戻りましょう。町の銭湯をしらない世代はマナーが悪い! とよく言われますが、平日の昼間を占拠するこの高齢者の中にも残念な利用者が結構見受けられます。
ゆ~ゆでは入浴のマナーポスターを配布して啓蒙活動をしましたが、「俺は社会に貢献してきたんだ」「年寄りを尊敬しろ」「生意気なことを言うな」などなどという考えのシニアは自分の行動を見直した方がいいですよ!
太郎の場合
太郎も、フリーマガジンを創刊した当時は、1日に4〜5箇所のお風呂に入るなんて無謀なこともしましたが、今はそんなことをしたら疲れて洗い場で倒れてしまうかもしれません。実際に高齢者のお風呂でのトラブルって多いんですよ! 湯あたりなんて可愛いもので、救急車騒ぎ、お風呂でしちゃった事件(これが結構大変!)、認知症による行動、勝手にデイケアサービスなどなど……。
まあ、お風呂に限らず、体力の衰えを認識していないシニアはあちらこちらで迷惑をかけているようですが、65歳過ぎたら「昔取ったキネヅカ!?」は自分の辞書から消したが良さそうです。登山で遭難! 無事に救出された面々の年齢が全員65歳以上なんていう報道も見かけます。
最近、よく報道される信じられない自動車事故。お店に突っ込んだ! ブレーキとアクセルを踏み間違えた! そして逆走。
太郎も次の免許更新は「認知機能検査」の受検と「高齢者講習」の受講が必要です。秘密基地のある別荘地は自治会で1日6回、駅とスーパーの循環バスを運行してくれています。公共交通機関が整備されている都会と違って、地方都市では車が必須アイテムということは理解できますが、自分を過信せずに返納の判断をしたいと思っています。
太郎は2年間で4回も心臓にカテーテルを入れちゃいました。おまけに救急搬送も3回。充分年寄迷惑をかけています。さすがに3回目の時は気が引けて、救急安心センター(#7119)に電話して症状を相談したら、速攻救急車の手配ということになりました。
タクシー代わりに出動依頼なんていうのは問題外ですが、高齢者の過信は禁物! かえって周りの人に迷惑をかけることになってしまいます。とにかく、自分の年を認識しましょう! あなたは十分年寄り!
そして医療・救急に携わっていらっしゃるすべての方に感謝します。
諸星 敏博
有限会社ライフラボ代表 / 一般社団法人 温浴振興協会 代表理事
1953年生まれ。温泉大国長野県で身近に温泉を感じながら子ども時代を過ごす。その影響か、「温泉を楽しむこと」がライフワークに。1990年~2000年代にかけて起きた温泉ブームに、より多くの人に温泉に親しんで欲しいという思いから「お風呂で得するフリーマガジン ゆ~ゆ」を創刊。その傍ら、より安全に気軽に温泉を楽しめるよう各温浴施設のコンサル業務も行い、現在までに50数施設の支援に当たっている。