ちょっと気になる温泉のはなし「美人の湯」ってなに?

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温泉の紹介で「美人の湯」と書かれているのをよく見かけませんか?
女性にとってはぜひとも入りたい温泉ですが、実はそんな名前の泉質はありません。
では「美人の湯」とは、いったいどんな温泉なのでしょうか?


「美人の湯」の泉質は一つじゃない


「美人の湯」と聞けば泉質の種類と思われがちですが、残念ながらそのような泉質はありません。では、何をもって「美人の湯」と呼ばれているのでしょうか。
そのいわれをひも解く「日本三大美人の湯」から、まずご紹介します。

一つめは群馬県の川中温泉。ここは源頼朝の旗本であった重田四郎が療養したという伝説が残る温泉です。
この温泉に浸かっていた女性たちの肌が白かったことから「美人の湯」と呼ばれたという説もあります。
〝川中温泉〞にある温泉宿は一軒のみで、泉質はカルシウム–硫酸塩泉、その源泉名が「美人の湯」とされています。

二つ目は和歌山県の龍神温泉。紀伊半島の南の山間にある温泉地で、宿や日帰りの8施設で「美人の湯」と呼ばれる湯に入ることができます。
ここは、夢に出て来た難陀龍王のお告げにより、弘法大師が開湯したという伝説に由来するのだそうです。泉質はナトリウム炭酸水素塩泉です。

三つ目は島根県の湯の川温泉。大国主命との悲恋の物語が残る八上姫が発見し、この湯で心身をいやし、よりいっそう美しい神になったことで「美人の湯」として伝えられています。
三方を山に囲まれた温泉地で6つの宿があります。泉質はナトリウム–カルシウム・硫酸塩・塩化物泉です。



「美人の湯」の条件はなに?


それではこの三つの「美人の湯」と呼ばれる温泉に共通する条件は何でしょうか。

まずは弱アルカリ性の温泉であるということ。さらにナトリウムイオンやカルシウムイオンが含まれているという共通点があります。
つまり泉質ではなく、水素イオン濃度と温泉に溶け込んでいる無機成分が大きく関わっているようです。

アルカリ環境の温泉では、ナトリウムイオンが皮脂と結合することで石鹸のような状態となって、清浄作用が生まれます。
つまり石鹸で肌を洗っているような状態になるということです。入るとヌルッとしたとろみを感じる温泉がそれあたります。

また同じ環境下でカルシウムイオンが皮脂と結合すると、ベビーパウダーのようなカルシウム脂肪酸を作り出すため、肌あたりのサラサラっとした湯にもなります。

肌をきれいにする、さらさらにする、つまり「美肌」が期待できる温泉が、「美人の湯」ということです。
ただし、表記に定義がないので、これ以外でも「美人の湯」はあります。

ちなみに「日本三大美肌の湯」というのもあります。
これは、佐賀県・嬉野温泉( ナトリウム–炭酸水素塩・塩化物泉)、島根県・斐之上温泉(アルカリ性単純温泉)栃木県・喜連川温泉( ナトリウム塩化物泉)の三つの温泉地です。



全国の「美人の湯」へ行こう!


〝美しい肌〞というのは、女性だけでなく、今や男性にとっても興味深いもの。
また、これからの季節は肌が乾燥しやすくなるので、美肌を目指して「日本三大美人の湯」へ行ってみませんか!
詳細は各ホームページを参考にしてみて下さい。

■ 群馬県・川中温泉 かど半旅館
http://www.kawanaka-kadohan.com/

■ 和歌山県・龍神温泉
http://www.ryujin-kanko.jp/

■ 島根県・湯の川温泉
http://www.yunokawaonsen.jp/



マメ知識・乾燥する季節お肌のため入浴時に気をつけること


冬は特にお肌が乾燥する季節。気持ち良くお風呂に入っても、肌が乾燥してしまってはがっかりです。

まずは熱いお湯に長く浸からないこと。肌の水分や潤い成分がお湯に溶け出てしまうからです。38~40℃のお湯に15分浸かるくらいがお肌にとっては良いそうです。
それでも気になるという方は、保湿成分の入った入浴剤の利用をオススメします。

次にお風呂上がりですが、体の水分をやさしく拭いたら、保湿クリームをすぐにつけること。入浴直後は潤っていても、水分の蒸発とともになんと10分で肌の水分まで奪ってしまうそうですよ。
肌を乾燥から守るちょっとした心がけ、ぜひ行ってみて下さい。



いかがでしたか?
近くにも似た泉質の温泉があるかもしれません。「美人の湯」に入りたい時は泉質表示などを確認してみて下さい。
【参考文献/清水冨弘著 温泉力検定(メタモル出版)】


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