ゆ〜ゆ本誌にて2013年まで連載していた「お風呂の四方山話」が令和版「温泉・温浴の四方山話」として復活! 愉湯太郎が伊豆高原の秘密基地よりお届けいたします。「風呂超爺・太郎の二拠点生活blog」とあわせ、ぜひお楽しみください(編集部)。
タトゥーと刺青の違い
タトゥーと刺青、どちらも同じように思いますが、ファッションの一部として捉えられることが多いのがタトゥー、反社会的組織の構成員が入れるとされるのが刺青のようです。でも、最近のタトゥーはワンポイントだけではなく、大きな柄で和柄風もあります。これでは、大きさや柄ではなかなか区別ができません。
タトゥーを入れた方の入浴に関して講演依頼や取材をよく受けました。フリーマガジン「ゆ~ゆ」を発行した2004年当時、記事でタトゥーを取り上げたことがあります。雑誌としては、その当時の流れからすると入浴制限が撤廃されるのは難しいという内容の記事でしたが、発行と同時に編集部宛にメールや半分おどしのような電話を頂いたことを記憶しています。
刺青は怖い?
太郎は銭湯世代ですし、個人的に入墨の芸術性に興味があり、刺青を入れた人に対して恐怖心はありませんが、一般の方には根強い恐怖心があるようです。
2013年、北海道の施設でニュージーランドのマオリ族の方が利用を断られたことでマスコミに取り上げられ、観光政策で外国人観光客を増やそう!! という国を挙げての取組が実施される時でしたから、確か国会でも答弁があったように記憶しています。
その後、ラグビーのワールドカップ開催、そして東京オリンピックの開催などが決まり、入浴を断るのは法律違反だ! 差別だ! 外国人だけでもOKにしたら? などなど議論が白熱した時期もありましたが、コロナ禍でインバウンドが激減し、いまはこの議論は一服状態です。
そもそも、「公衆浴場」に分類される銭湯では入浴を断ることはできません。なぜなら、自治体の補助などをうけており、公衆衛生を担うという使命があります。もちろん、おむつの取れていない乳幼児も断れません。
一方、スーパー銭湯は「その他の浴場」に分類され、利用ルールは各店舗に委ねられています。スーパー銭湯がたくさん開業した1990年代。当時は暴対法もありませんでしたから、玄関ですごまれたり、利用者に威圧的な態度を取った嫌がらせがありました。そんな過去が銭湯を利用したことのない人に、「刺青=怖い」というイメージを植え付けてしまったのです。
マスコミに取り上げられると業界も利用者も少しだけ反応するのですが、報道が落ち着くと触らぬ神に祟りなし……ということになっているようです。太郎はこの問題について、マスコミの興味とは別に折に触れて書き込みますね!
諸星 敏博
有限会社ライフラボ代表 / 一般社団法人 温浴振興協会 代表理事
1953年生まれ。温泉大国長野県で身近に温泉を感じながら子ども時代を過ごす。その影響か、「温泉を楽しむこと」がライフワークに。1990年~2000年代にかけて起きた温泉ブームに、より多くの人に温泉に親しんで欲しいという思いから「お風呂で得するフリーマガジン ゆ~ゆ」を創刊。その傍ら、より安全に気軽に温泉を楽しめるよう各温浴施設のコンサル業務も行い、現在までに50数施設の支援に当たっている。