ゆ〜ゆ本誌にて2013年まで連載していた「お風呂の四方山話」が令和版「温泉・温浴の四方山話」として復活! 愉湯太郎が伊豆高原の秘密基地よりお届けいたします。「風呂超爺・太郎の二拠点生活blog」とあわせ、ぜひお楽しみください(編集部)。
私たちが楽しんでいる温泉は貴重な資源です。その温泉を利用した場合、入湯税という目的税が徴収されます。総務省の定義では入湯税は、入湯施設の利用と市町村の行政サービスとの関連に着目し、鉱泉浴場所在の市町村が課する目的税です。その使途は、環境衛生施設の整備、鉱泉源の保護管理施設の整備、消防施設その他消防活動に必要な施設の整備、観光の振興(観光施設の整備を含む)に要する費用に充てることとされ、1人1日150円を標準とするとされています。温泉を提供している施設を利用すると、宿泊施設は宿泊料とは別に150円を徴収し納税します。
それでは、日帰り施設やスーパー銭湯はどうでしょう? 課税の基準は各自治体に任せられており、宿泊を伴わない場合は課税しない、あるいは利用料1,000円以下は課税しないというのが一般的です。この場合、入館料1,000円で頑張ったが、昨今の様々な商材やエネルギーコストの高騰で入館料1,200円に値上げしても、150円の入湯税を納税しなくてはなりませんので、実質的には50円の増収にしかならないのです。
さて、太郎の秘密基地がある伊東市では、現行の入湯税150円を300円に増税する案が検討されています。貴重な温泉の恩恵を享受するのですから、その維持管理に使われるのであれば入湯税を負担することには異論はありませんが、全国の徴収自治体の利用実態がちょっと気になりますね。
諸星 敏博
有限会社ライフラボ代表 / 一般社団法人 温浴振興協会 代表理事
1953年生まれ。温泉大国長野県で身近に温泉を感じながら子ども時代を過ごす。その影響か、「温泉を楽しむこと」がライフワークに。1990年~2000年代にかけて起きた温泉ブームに、より多くの人に温泉に親しんで欲しいという思いから「お風呂で得するフリーマガジン ゆ~ゆ」を創刊。その傍ら、より安全に気軽に温泉を楽しめるよう各温浴施設のコンサル業務も行い、現在までに50数施設の支援に当たっている。