何を目的とした法律か?
公衆浴場法とは、昭和23年7月に作られ、現在も施行されている法律です。本則は第一条から第十一条まであります。
まず第一条には、「公衆浴場」と「浴場業」とはどういうものかを定義しています。この法律で言う「公衆浴場」とは「湯温、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」、また「浴場業」とは「都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては市長、区長、以下同じ)の許可を受けて公衆浴場経営すること」というようになっています。つまりこの法律は、私たちがよく利用する温浴施設などに関わる法律ということですね。
第二条から第十一条までの間には、公衆浴場の営業許可に関すること、営業者が衛生や風紀のために講じなければならない必要な措置や義務、入浴者が守るべきこと、それに対して都道府県知事が監督し、守られない場合には処罰がある、大まかに言うとそういった内容です。要するにこの法律の目的というのは、公衆浴場を衛生・風紀面などにおいて良い環境に保つことを目的とした法律ということですね。
そしてこの「公衆浴場法」に基づいて基準を定めた「公衆浴場法施行条例」というのが都道府県など監督する各自治体にあります。
対象となる施設は?
ところでこの法律で定義されている公衆浴場というのは、具体的にどんな施設なのでしょうか。厚生労働省のホームページ「公衆浴場法概要」によると、この法律が適用される公衆浴場は大きく二種類に分けられています。
一つは「一般公衆浴場」。地域住民の日常生活において保健衛生上必要なものとして利用される施設、さらに物価統制令で利用料金が統制されているもの。具体的には銭湯や老人福祉センターなどの浴場が含まれるそうです。
もう一つは「その他の公衆浴場」。保養・休養を目的としたヘルスセンター・健康ランド型のものや、ゴルフ場やアスレチックジム等スポーツ施設に併設されるもの、工場等に設けられた福利厚生のための浴場、サウナ、個室付き公衆浴場、移動入浴車、エステティックサロンの泥風呂等と記されています。
こうしてみると、私たちが外で利用するお風呂には全部この法律が適用されるように思えますが、他の法令に基づいて設置され、衛生措置が講じられているものなどに関しては対象外だそうです。例えば旅館業法の適用を受ける宿泊施設の浴場も適用外です。
利用者に対するメリットは?
それではこの法律があることで、私たち温浴施設などの利用者にとってどんなメリットがあるのでしょうか。
まず第三条に「営業者は公衆浴場について換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない」とあり、第四条には、営業者に対して、伝染性の疾病にかかっていると認められる者の入浴を拒まなければならないと示しています。
これらの内容を見ると、私たちが公衆浴場を安全に、そして気持ちよく利用できるように定められている、その点がメリットということですね。
利用者も守らなければならない法律
この法律は一見、公衆浴場の営業者に向けた法律のように見えますが、最初にも少し触れたように、私たち利用者に対しての内容もあります。
第五条に「入浴者は公衆浴場において、浴槽内を著しく不潔にし、その他公衆衛生に害を及ぼすおそれのある行為をしてはならない」とあり、さらに営業者や管理者はそういった行為を制止しなければならないと定められています。
さらに第十条の拘留又は科料に処する該当者として第二項に、「第四条の規定により営業者が拒んだにもかかわらず入浴した者、又は第五条第一項の規定に違反した者」とあります。つまり営業者が違反した場合だけではなく、私たち利用者が温浴施設でのルールを守らないと、罰せられる場合もあるということです。気を付けなければならないですね。
いかがでしたか。
今回は公衆浴場法の本則をかいつまんで紹介しました。
もちろん法律で決められているからだけでなく、公共の場というのは自分だけが利用するわけではありませんので、マナーを守って利用するのは鉄則です。そうした大人を見ることで、子供たちにもマナーが身に付くはず。自分自身も含めて利用する皆さんが気持ちよく、安全に利用できるよう、これからも私たち一人ひとりがマナーを守って温浴施設などを利用したいですね。