【黒岩神奈川県知事インタビュー】未病を治して健康寿命を延ばそう 第3回

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今回はゆ〜ゆが未病を取り上げるきっかけとなった、本年1月に発表された「未病を治すかながわ宣言」の取組みについて、神奈川県 黒岩知事にお話を伺いました。

黒岩神奈川県知事インタビュー

早速ですが、「未病を治すかながわ宣言」のもととなる、神奈川県で進めている「ヘルスケア・ニューフロンティア」とはどんな取組みですか?

――神奈川県に限らず、私たちが経験したことのない超高齢社会がもたらす社会変化を乗り切るために、「未病を治す」「最先端医療・最新技術の追求」という二つのアプローチを融合させ、健康寿命日本一や、新たな市場・産業の創出を目指すという取組みです。


今回の「未病を治すかながわ宣言」は知事主導で実施されたと伺いましたが?

――報道関係におりました時も「救急医療」について取り組み「救命救急士の誕生」に一役かったり、「ナースを取巻く環境」についても様々な状況を取り上げました。その後、大学で教鞭をとりました時も「医療・福祉とメディア」がテーマでしたから、これらの問題は私のライフワークの一つと言っても過言ではありませんし、医療が患者目線で行われることの重要性を痛感しました。
 
 したがって、県知事になった時から県民の健康寿命をどうやって延ばそうかと考えていたのです。


今回の取組では「未病を治す」という言葉が使われていますが、この「未病」という言葉の概念はあまり知られていないような気がするのですが?

――そうですね。「未病」という言葉は中医学や漢方の分野ではよく使われます。あまり一般的ではないかもしれません。人間の体調は「健康」と「病気」という二つに大別しがちですが、実はその間で連続的に変化する過程を「未病」という概念でとらえます。
 
 特に超高齢社会を迎えた今日、健康であることは県民の皆さんの願いでもあるわけですから、特定の疾患の予防・治療に止まらず、心身ともに健康な状態に保つことを意識づける言葉と思って頂ければよいのではないでしょうか。
 
 家族の話で恐縮ですが、私の父が深刻な病気を患った時にある中医学の先生が「医食同源」の実践を進めてくれました。「医食同源」とは食を重要視し、食の在り方によって病を治してゆく、「有胃気即生」、すなわち「胃」に気があれば生きられるという考え方です。父は山芋を蒸して食べることにより、見事に体質改善をはかり、食を通じて「気」を取込むことで深刻な病気を克服しました。父の場合は病気の克服でしたが、皆さんは、「病気でなければ健康」ということではなく、「未病を治す」ということに日常的に取り組むことが重要で、それが健康寿命の延伸につながり幸せな生活を送れることになるのではないでしょうか。


たとえば、知事が自ら気をつけていらっしゃることはありますか?

――私はここ2年半、毎朝5キロのジョギングをしています。ジョギングが終わったらシャワーを浴び、体重計で体脂肪のチェックもします。知事という職業はけっこうハードですし、議会開催中は不規則な生活になることもままあります。それに私はお酒も好きですから、食のバランスには特に気をつけています。
 
 「元気」の「気」という漢字は、本来はつくりの中にメではなく米という字が使われていました。「食」を通じて「気」が高まり「気」が元に戻って元気になるという考え方…これを実践しています。

 「食習慣」と「運動習慣」が私の実践していることです。


日頃から健康であることに気を使っていらっしゃるのですね!
「ゆ〜ゆ」では健康寿命を延ばすためには、生活習慣病が大きなキーポイントになるという記事を掲載していますが…

――そうですね。「生活習慣病」は食の在り方によって大きく左右されると言っても過言ではないでしょう。それと生活習慣病は高齢者だけの問題ではありません。むしろ小さいころから食の重要性を知ることが必要です。したがって神奈川県内ではすでに学校給食でこの考え方を取り入れ、地産地消を基本に子供たちの食の改善に取り組んでいます。


その他には今後どんな取組みをされるご予定ですか?

――まず、「未病を治すかながわ宣言協力活動登録制度」を開始しています。レストランやスーパーマーケットなどに登録をしてもらい、それぞれの場面で「未病を治す」という活動を実施してもらいます。例えば、レストランでは医食農同源の考え方によるメニューを提供してもらったり、スーパーではどの食材が健康づくりに役立つのかを情報提供してもらったりする訳です。
 
 生活の様々な場面で、生活習慣を整え、「未病を治す」取組みを、そしてその大切さを学ぶために、行政だけでなく県民生活にかかわる企業・団体などの活動を通じて、実践しやすい環境を整備してゆく予定です。

 また、「未病センター構想」も進めようとしており、「未病いやしの里」という施設を作りたいとも考えています。


黒岩神奈川県知事インタビュー

「ゆ〜ゆ」は温浴施設でストレス解消を行い、健康維持増進をはかるたくさんの読者を抱えていますが、何か一言知事からメッセージを頂けますか?

――私もお風呂は大好きです。以前は一人で秘湯に出かけていったりすることもよくありました。
 
 先ほどお話しした「医食同源」を進化させた「薬食茶湯一体論」という考え方を中医学の先生と創り出しました。食やお茶が重要であるように湯も重要であるということです。日本では昔から温泉を使った湯治という考え方があります。湯によって体の外部から健康になる…まさに「ゆ〜ゆ」の読者の皆さんはそれを実体験されているのだと思います。

 それから、最近は地域コミュニティの存在が希薄になったと言われています。特に災害時に隣の人の安否がわからない…というようなことも起きています。社会と何らかの関わりを持ち続けるということでも、お風呂屋さんは地域コミュニティの一つの核になって欲しいと思います。


今日は大変お忙しい公務の中、お時間を頂きましてありがとうございました。「ゆ〜ゆ」も協力活動の登録を申請中でございますので、誌面を通じて神奈川県民だけでなく、お風呂ファンに「未病を治す」という考え方を広めてまいります。


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