温泉は神秘的な存在
日本人は古来より温泉を利用してきたことは、すでにみなさんご存知だと思います。
現代では娯楽の一つとして、またリフレッシュ、湯治などが主な温泉利用方法です。
また、今では温泉の湧出するメカニズムや効能などは科学的に解明され、医療分野での活用も発展しています。
しかし遥か昔は、病気や傷を癒してくれるとても神秘的で大切な存在だったようで、その温泉地を守るといったような神社やお寺は多数あるようです。
一般的には大国主命や少彦名命、薬師如来などが温泉の神様として祀られていることが多いようですが、それ以外にも温泉を守る神様はたくさんいるという話もあるようです。
こんな話を聞くと、今まで気軽に入っていた温泉が、何だかとっても貴重なものに感じてしまいますね。
いざ行かん 温泉にまつわる神社・お寺へ
温泉神社や温泉寺は日本各地にありますが、当然ながら有名な温泉地にも多くあります。
お参りしてから温泉に浸かれば、またひと味違う気分で温泉を楽しめるかもしれません。
そこで、温泉に関わる神社やお寺を、いくつか紹介します。
那須温泉神社
この神社が建立されたのは630年。
狩人であった狩野三郎行広が射損じてしまった白鹿を追って行ったところ、傷を負った鹿が温泉に浸かっている所に辿り着いたそう。それを見た行広は、神のお導きだと思い、その地、現在の那須湯本に温泉神社を創ったといわれています。
屋島の合戦で扇を射ぬいた那須与一が祈願に訪れたということも伝えられている神社です。
■那須高原ガイド
http://www.nasukogen.org/
有馬温泉 湯泉神社
ふと見ると温泉神社と見えますが、正しくは湯泉神社なんですね。
昔から複数の呼ばれ方があるそうですが、現在は「とうせんじんじゃ」というのが一般的な呼び方だそうです。
有馬を発見したという大己貴命( 大国主命)・少彦名命・熊野久須美命が祀られている神社で、有馬温泉の守護神として親しまれています。
一方では平安時代からの風習に端を発した「子授け祈願」でも知られているのだそうです。
毎年1月2日には有馬温泉の繁栄を祈願する「献湯祭」が行われます。ご神前には新年の初湯と、炭酸水が供えられるそうです。
■湯泉神社
http://www.tousen.or.jp/
下呂温泉 醫王霊山 温泉寺
JR下呂駅より徒歩で約15分、173段の石段を上がった所にある寺で、静寂さを保つ境内からは、下呂の町並を一望することができます。
この地にはある白鷺の伝説があります。
千年以上の歴史がある下呂温泉ですが、1265年に突然湧出が止まってしまったことがありました。
その翌年、飛騨川河原の白鷺が舞い降りた場所に温泉が湧出しているのを村人が偶然見つけます。その後、白鷺は中根山腹福の松に停まり、その木の下に鎮座している薬師如来を発見しました。
この薬師如来が白鷺に化身し、温泉の湧出を知らせてくれたと言い伝えられています。この薬師如来を本尊とし開創されたのがこの温泉寺とされています。
■下呂温泉 醫王霊山 温泉寺
http://www.onsenji.jp/
有馬山 温泉禅寺
724年、高僧・行基が薬師如来に導かれて有馬温泉を訪れて建立したお寺です。
毎年1月2日には入初式が行われ、祀られている行基と仁西の木像に初湯をかけて沐浴をするそうです。パワースポットとも言われているそうですよ。
■有馬温泉観光協会公式サイト
http://www.arima-onsen.com/facility_info111.html
末代山 温泉寺
道智上人がこの地を訪れ、四所明神の神託により千日間修行したのち温泉が湧出、そして開いたのが城崎温泉。その道智上人が738年に由緒正しき観音像を得て開創したお寺です。
現在の山号・寺号は「城崎温泉の守護寺」として聖武天皇から賜りました。
長い間、城崎温泉と入湯客を見守ってきた温泉寺。その昔は、城崎温泉を訪れた人はまず温泉寺へお参りをしてから温泉に入ったそうです。
ホームページではその「古式入湯作法」を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに道智上人が開いた温泉は、現在城崎温泉の外湯の一つである「まんだら湯」だそうです。
■末代山 温泉寺
http://www.kinosaki-onsenji.jp/
いかがでしたか?
お参りで心を、温泉で体を清めれば、今年もきっと良い温泉に巡り合える年になるはず。機会があれば、ぜひ訪れてみて下さい。