具体的に何が変わったの?
温泉の中でも泉質名がある「療養泉」。これにはそれぞれ適応症があります。昨年7月に「鉱泉分析法指針」が改訂されて泉質の種類が変わり、それに伴って適応症、さらに禁忌症の記載内容についても変わりました。それでは具体的にどのように変わったのでしょうか。
泉質の種類が変更に
泉質はこれまで大きく分けて9種類、厳密に言うと「含アルミニウム泉」と「含銅泉」を含む11種類だったのですが、今回の改訂によりこの二つが外され、「含よう素泉」が新たに加わった10種類となりました。
適応症の改定は?
適応症についてはまず「自律神経不安定症」と「ストレスによる諸症状( 睡眠障害、うつ状態など)」の項目が加えられました。
もう一つは「単純温泉」に、「泉質別適応症」が記載できるということ。実は今まで無かったのです。
さらにもう一つ、適応症を表記する順番が、「泉質別適応症」を先に記載することになりました。これまでの浴用の一般適応症が先に書かれているものよりも、その泉質の特徴がよりわかりやすくなりました。それでは次に改定後の詳しい適応症を紹介します。
【泉質別適応症】
《単純温泉》
浴用:自立神経不安定症、不眠症、うつ状態
《塩化物泉》
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
飲用:萎縮性胃炎、便秘
《炭酸水素塩泉》
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症
飲用:胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)
《硫酸塩泉》
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
飲用:胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘
《二酸化炭素泉》
浴用:きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症
飲用:胃腸機能低下
《含鉄泉》
飲用:鉄欠乏性貧血
《硫黄泉》
浴用:アトピー性皮膚炎、異常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える)
飲用:耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症
《酸性泉》
浴用:アトピー性皮膚炎、異常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症
《放射能泉》
浴用:高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など
《含よう素泉》
飲用:高コレステロール血症
【浴用の一般的適応症】
筋肉若しくは関接の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自立神経不安症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進。
禁忌症の改定は?
禁忌症に関する大きな改訂としては、「妊娠中(とくに初期と末期)」という項目が除外されたことだそうです。次に改定後の禁忌症も紹介します。
【浴用の一般的禁忌症】
病気の活動期(特に熱のある時)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓病又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血がある時、慢性の病気の急性増悪期
【泉質別禁忌症】
《酸性泉》
浴用:皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者
《硫黄泉》
浴用:皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者
またこれ以外に、含有成分別禁忌症も新たに設けられて、入浴又は飲用上の注意の掲示基準も改訂されています。
もっと詳しく知りたい人は温泉ソムリエに
こうした泉質の種類など温泉についてもっと詳しくなりたい、そんな方は「温泉ソムリエ」を取得してみてはいかがですか。講習に参加すれば認定証が授与され、さらに検定に合格すれば、シリアルナンバー入りの認定カードが授与されます。興味のある方はぜひ。
温泉ソムリエ協会ホームページ
http://onsen-s.com/
いかがでしたか?
温泉分析書は10年以内に分析したものを掲示すればよいため、一斉に施設の掲示内容が変わるわけではありませんが、これから温泉に入る時には、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考文献:温泉ソムリエテキスト