ゆ〜ゆ本誌にて2013年まで連載していた「お風呂の四方山話」が令和版「温泉・温浴の四方山話」として復活! 愉湯太郎が伊豆高原の秘密基地よりお届けいたします。「風呂超爺・太郎の二拠点生活blog」とあわせ、ぜひお楽しみください(編集部)。
温浴施設の生き残り戦略
さまざまな業界で人手が足りないと言われています。温浴業界も例外ではなく、人手不足が深刻な業種と言えるでしょう。何しろ、コロナ以前から3K・4Kの業種と言われているのですからなおさらです。
少子高齢化が進む日本では、就労人口の減少は大きな問題となっています。一部では既に外国人の労働者に頼っている業界もあります。温浴施設では飲食部門やリラクゼーション部門を外部に委託することが多いのですが、両部門ともに慢性的な人手不足です。また、従来は脱衣所や浴室の清掃・整備を女性スタッフが担当していましたが、最近では「男性風呂は男性スタッフで」という意見を頂くことが多くなりました。
高齢者の積極的採用や自動精算機の導入などの取り組みも進めていますが、何しろ営業時間が長い業態ですから、通常は約50名の登録スタッフが必要です。高い賃金の提示が解決策の一つかもしれませんが、コロナで利用者の激減に耐えた3年間は赤字の連続でしたから、そんな余裕はどこの温浴施設にもないはずです。
値上げラッシュが続く今、背に腹は代えられませんから、発想の転換が必要な時期に来ています。営業時間の見直しや利用料金の値上げなど、ユーザーにとって不都合かもしれませんが、大きなお風呂でゆっくり癒される施設の生き残りには利用者の理解も必要でしょう。
それにしても、今まで働いていた人たちはどこに行ってしまったのでしょうか?
諸星 敏博
有限会社ライフラボ代表 / 一般社団法人 温浴振興協会 代表理事
1953年生まれ。温泉大国長野県で身近に温泉を感じながら子ども時代を過ごす。その影響か、「温泉を楽しむこと」がライフワークに。1990年~2000年代にかけて起きた温泉ブームに、より多くの人に温泉に親しんで欲しいという思いから「お風呂で得するフリーマガジン ゆ~ゆ」を創刊。その傍ら、より安全に気軽に温泉を楽しめるよう各温浴施設のコンサル業務も行い、現在までに50数施設の支援に当たっている。