「汗を上手にかける体」で熱中症対策
熱中症を防ぐ大切なポイントが「汗を上手にかけること」だと知っていますか? 高温多湿の環境で体内に熱がこもると熱中症が起こりやすくなりますが、汗には体内から熱を逃がす働きがあるからです。この記事では、きちんと発汗できる体になる方法など、熱中症を防ぐための豆知識をご紹介します。暑い季節を元気に乗り切るために役立ててください。もし熱中症になってしまったら、涼しいところに移動して、衣類のボタンをはずして熱を逃がし、水分を補給しましょう。
熱中症はこんなとき&こんな人に起こる!
意外かもしれませんが、熱中症は「家の中」や「夜間」でも発生します。また、本格的な夏を迎える前の、梅雨の合間や梅雨明けの気温が急上昇する日にも注意してください。特に熱中症に気をつけたい人は、高齢者です。体温の調節機能が下がっているのに加え、暑くても我慢してしまうことなどから、毎年たくさんの高齢者が救急搬送されています。さらに、疲れがたまっている人、二日酔いの人、朝食を抜いた人、肥満気味の人なども熱中症になりやすい傾向があります。
こう毎日暑いと、気力も食欲もわかず、夏バテ状態から抜け出せない。室内でも熱中症は発生する。湿度が高い日は夜でも油断せず、エアコンで温度を調節するだけでなく、換気や除湿も心がけたい
暑さに慣れて発汗できる体になる「暑熱順化(しょねつじゅんか)」
私たちの体には、季節の変化に適応する能力が備わっており、暑い季節に慣れることを「暑熱順化(しょねつじゅんか)」と呼びます。熱中症は、体温調節がうまくできず、体温が異常に上がることから起こります。暑熱順化が成立すると、体温が低くても発汗できるようになるので、体温が上がりにくくなり、熱中症の予防につながります。
「暑熱順化」が成立すると……
2種類ある汗腺のうち、体温を調節する働きを持っているのが、能動汗腺(エクリン汗腺)です。2歳半くらいまでの間に、暑い環境で過ごすことが少ないと、能動汗腺の数が減るといわれています。ですが、汗腺の数が少なくても、暑熱順化して汗腺がしっかり働くようになれば、汗をたくさんかくことが可能です。
30分のウオーキングで日頃から汗をかく習慣を
実は「暑熱順化」は、夏が来る前に意図的に成立させることができます。最も有用なのは、汗ばむ程度の運動です。体を動かす習慣がない人は、手軽に始められるウオーキングで、汗をしっかりかける体に整えておきましょう。
運動不足を防ぐためにも体を動かす習慣は大切。涼しい時間帯を選んでウオーキングなどを実行したい
たくさん汗をかくには、体内に水分が必要
体温を下げるために大量の汗をかいて脱水症状になると、「大切な水分をこれ以上減らしてはだめ!」というシグナルが出て、今度は発汗量が減ります。すると体温が急上昇し、熱中症の原因に。汗をかける体であると同時に、体内の水分を減らさないことも大切です。子どもや高齢者は脱水症状に気づきにくいので、「喉が渇いた」と思う前に水を飲みましょう。また、汗には水分のほか、塩分(塩化ナトリウム)やカルシウム、マグネシウムといったミネラルが含まれています。大量の汗をかいたときには、スポーツドリンクを飲むのもおすすめです。
ミネラルも補給するならスポーツドリンクもおすすめ。水分をとるためにアルコールを飲むのは逆効果。持病により水分や塩分を制限している人は事前に医師に相談を
毎日のお風呂でしっかり汗をかいて夏に備える!
毎日の入浴で汗をかくのも、暑熱順化を助けます。この入浴法にはちょっとしたコツがあります。約40℃くらいのぬるめのお湯に高濃度炭酸ガス入浴剤を入れて10~20分ほどつかり、しっかりと汗をかいてください。夏が到来する前から開始して、2週間以上続けるとよいでしょう。
入浴は疲労回復やリフレッシュのための大切な習慣。実は暑熱順化の成立にも役立つ
暑くてお湯につかりたくないという日は、「クールダウン浴」を取り入れてみませんか。おすすめの温度は37℃くらい。10~20分ほど湯船にじっくりつかりましょう。全身の血行が促され、体にこもった熱を効率的に逃がせるので、寝苦しい夜も涼やかに過ごすことができ、快眠にもつながります。
熱中症や夏バテ予防―すぐに役立つ健康入浴法
夏バテなど暑い季節特有の不調の対策や熱中症の予防に、毎日の入浴が役立つことをご存じですか?「暑いからシャワーで済ませてしまおう」「お風呂はさっとつかるだけにしよう」と思いがちな夏こそ、湯船にしっかりつかることが、とても大切です。夏に効果的な入浴方法を知って、暑い夏を元気に乗り切りましょう。
いかがでしたか?
次号ではいよいよ「熱中症や夏バテ予防―すぐに役立つ健康入浴法」をお教えします。ご期待ください!
出典:花王ヘルスケアナビ